~想いとお金を両立させる経営へ~
「売上はあるのに手元にお金が残らない」「何から手をつけていいのかわからない」
事業承継後の経営者様から、このようなご相談をいただくことは決して珍しいことではありません。先代から受け継いだ事業への想いは強くても、具体的な数字管理や経営戦略について悩まれる方が多いのが現実です。
今回ご紹介するのは、飲食業E様の事業承継後の経営改善事例です。コダマコンサルティングが大切にしている「想いの実現化」というミッションのもと、お客様と伴走しながら、数字に基づいた具体的な改善策を実施し、結果として大幅な収益向上を実現した事例をお伝えします。
私たちが考える経営とは、単なる数字の改善だけではありません。経営者様の「想い(ビジョン)」を実現するために、しっかりとした数字の裏付けを作り、それによってワクワクするような経営を目指していくことです。ビジョンと数字がハッキリしているからこそ、事業に対するモチベーションアップに繋がると考えています。
クライアント様との出会い~伴走型コンサルティングの始まり~
E様との初回面談
地域で約100年以上愛され続けてきた飲食店を経営するE様。先代から事業を承継された新代表者様からのご相談でした。初回面談では、以下のようなお悩みを伺いました。
「父の代から続く店や味を守りたいという想いは強いのですが、経営の実務について、特に数字の部分は正直不安でいっぱいです。コロナ禍以降、なんとか売上を維持できているものの、なぜか手元にお金が残らず、このままで大丈夫なのか心配です。」
このお話を伺った時、私たちが最も大切にしている「想いの実現化」というミッションがまさに求められている場面だと感じました。E様には確固たる想い(先代から受け継いだ店の味を守り、会社を発展させたいというビジョン)があります。しかし、それを実現するための具体的な数字の把握と戦略が不足していたのです。
伴走型コンサルティングのアプローチ
コダマコンサルティングでは、「上から教える先生型ではなく、一緒に伴走するパートナー型のコンサルティング」を実施しています。E様との関係においても、一方的に解決策を提示するのではなく、まずはE様の想いをしっかりとお聞きし、その実現に向けて一緒に考えていくスタンスを取りました。
「どのような店にしていきたいですか?」「お客様にとって、どんな価値を提供したいと考えていますか?」
このような質問を通じて、E様の中にある本当の想いを言語化していきました。その結果、「地域の皆様に愛され、安心して美味しい料理を楽しんでいただける店を続けていきたい」というビジョンが明確になりました。
元銀行員の視点による財務分析~数字で現状を「見える化」~
銀行員時代の経験を活かした分析手法
私は金融機関で9年間勤務経験があります。この経験から培った財務分析のスキルを活用し、E様の過去5年間の財務データを徹底的に分析しました。
多くの経営者様は、日々の業務に追われて財務状況を詳細に把握する時間がありません。しかし、想いを実現するためには、現状を数字で正確に把握することが不可欠です。分析の結果、以下の事実が明らかになりました。
財務分析結果:
- 売上高:維持されているが減少傾向
- 原価率:業界平均を上回る実績
- 人件費率:適正範囲内で推移
- 営業利益率:期によって変動あり、難しい状況
この数字を見たE様は、「なんとなく厳しいとは思っていましたが、ここまで深刻だったとは…」と驚かれていました。しかし、同時に「問題が明確になり、頭が整理された気がします」ともおっしゃっていただきました。
日次管理システムの導入
銀行員時代の経験から、日々の数字管理の重要性を痛感していた私は、E様に日次での収支管理をお勧めしました。今回のケースにおいては、月次での大まかな把握では、問題の本質が見えないと考えたからです。
約1ヶ月間のデータ収集を通じて、興味深い事実が判明しました。材料の無駄遣いや過剰な仕入れも一部ありましたが、基本的には日々の業務を適切に管理されていました。従って、問題は業務の質ではなく、商品設計にあることがわかりました。
問題の核心発見~商品別収益性の徹底分析
メニュー別原価分析の実施
次のステップとして、全品目のメニューについて、1品ずつ詳細な原価分析を実施しました。この作業は非常に時間のかかるものでしたが、E様と一緒に取り組むことで、お客様自身も経営の実態を深く理解していただくことができました。
分析結果はざっくりと以下の分類分けができました。
- 原価率30%以下の高収益メニュー
- 原価率30~70%の標準メニュー
- 原価率70%超の赤字メニュー
特に赤字メニューについては、近年の物価高騰により材料費が20~30%上昇しているにも関わらず、販売価格が据え置かれていることが原因でした。E様は「お客様のことを考えて値上げを躊躇していましたが、これでは店が続けられませんね」と現実を受け入れてくださいました。
また、メニューに使う食材(小鉢など)の工夫や仕入先の見直しも併せて行いました。
想いの実現に向けた戦略策定~ビジョンと数字の融合~
E様の想いを軸とした改善方針
ここで重要だったのは、単純に利益を追求するのではなく、E様の「地域の皆様に愛される店を続けたい」という想いを実現する方法を考えることでした。私たちは以下の方針を共に策定しました。
基本方針:
- お客様に愛されるメニューは価値に見合う適正価格で提供
- 不採算メニューは整理するが、人気メニューは形を変えて残す
- 経営者の負担を軽減し、より良いサービスに集中できる環境を作る
- 持続可能な経営体制を構築し、長く地域に貢献できる店にする
具体的なメニュー戦略
E様と何度も話し合いを重ね、全メニューを以下の4つのカテゴリーに分類しました:
①削除メニュー 完全赤字メニューと注文頻度の低いメニューを整理。ただし、お客様への影響を最小限に抑えるため、代替メニューを提案。
②適正価格化メニュー
人気メニューについては、価値に見合った適正価格に調整。値上げに際しては、品質向上も同時に実現。
③据置メニュー 既に適正原価率にあるメニューは価格維持し、看板メニューとして前面に押し出す。
④一品料理化メニュー 削除予定だった人気メニューを、少量高品質の一品料理として復活。特別感を演出し、収益性も確保。
目標設定と数値管理体制の構築
E様と一緒に具体的な数値目標を設定しました(いわゆるKPI)。
- 目標原価率:30%
- 目標営業利益率:10%(必要金額で評価)
- 月次キャッシュフロー:30万円の改善
これらの数字は、E様の想い(持続可能な経営で地域に貢献)を実現するための具体的な指標として設定しました。
実装プロセス~お客様と共に歩んだ日々~
段階的実装による顧客への配慮
急激な変更はお客様の混乱を招く恐れがあるため、段階的実装を計画しました。この計画策定においても、E様の「お客様を大切にしたい」という想いを最優先に考えました。
実装スケジュール
- 第1段階(1ヶ月目):不採算メニューの段階的廃止と説明
- 第2段階(2ヶ月目):価格改定と品質向上の同時実施
- 第3段階(3ヶ月目):一品料理メニューの追加と看板メニュー強化
お客様コミュニケーション戦略
E様の想いである「お客様に愛される店」を実現するため、常連さんを中心に変更についての丁寧な説明を重視しました。
- 店内での価格改定理由の説明(物価高騰等への対応と品質向上)
- 常連のお客様への個別説明
- 新メニューの試食サービス
- 感謝の気持ちを込めたサービス向上
結果として、来店人数や売上高から考慮すると顧客離れはなく、「より美味しくなった」「経営が安定してくれて安心」といった温かいお声をいただくことができました。
劇的な成果~想いと数字の両立実現~
定量的成果
実装から半年後、E様の想いが数字として実現されました。
財務面の劇的改善
- 原価率の改善
- 営業利益率の向上(営業利益が出る体制構築)
- 月次キャッシュフローの改善
- 年間利益の増加
想いの実現~定性的な成果~
数字以上に重要だったのは、E様の想いが実現されたことでした。
「以前は毎日が不安でしたが、今は数字に裏付けられた自信を持って経営できています。お客様にも『美味しくなった』と言っていただけて、父から受け継いだ店を発展させることができそうです。」
このE様の言葉こそが、私たちのミッションである「想いの実現化」が達成された証だと感じています。
継続的な成長支援~伴走は続く~
モニタリング体制の構築
想いを実現し続けるためには、継続的な改善が必要です。以下の管理体制を構築しました。
- 月次での原価率モニタリング
- 四半期ごとでの商品別収益性分析
- 定期的な戦略見直しミーティング
- 年次での事業計画策定支援(KPI設定や行動計画設定など)
資金調達支援の準備
E様からは「店舗設備を改善したい」というさらなる想いをお聞きしています。その実現に向けて、私たちの得意分野である融資・補助金といった資金調達支援の準備も行いました。実際に、内装や看板の入替を実現でき、優先度の高い箇所の修繕&新規設置ができました。
コダマコンサルティングの想い~共に成長する喜び~
私たちが大切にすること
今回のE様との取り組みを通じて、改めて私たちのコンサルティング方針を再確認できました。
「寄り添い、共に成長し合えるコンサルティング」
E様の成功は、単なるクライアント様の成果ではありません。私たち自身も、E様との伴走を通じて多くを学び、成長することができました。
あなたの「想い」はいかがですか?
このような想いをお持ちではありませんか?
- 先代から受け継いだ事業を発展させたいが、何から始めればいいかわからない
- 売上はあるのに利益が残らず、将来が不安
- 事業への想いは強いが、数字に裏付けられた自信がない
- お客様に喜んでもらいながら、適正な利益も確保したい
- 持続可能な経営体制を構築したい
これらの想いは、決して無理なものではありません。適切な分析と戦略があれば、実現できます。
私たちにできること
コダマコンサルティングでは、以下の専門性を活かして、あなたの「想いの実現」をお手伝いします。
元銀行員の専門性
- 財務分析による現状把握
- 資金調達(融資)支援
- 事業計画策定支援(KPI設計・行動計画作成等)
伴走型コンサルティング
- 一方的な指導ではなく、共に考え、共に実行
- 継続的なサポート体制
- クライアント様の成長に合わせた柔軟な支援
実践的なアプローチ
- 理論だけでなく、すぐに実行できる具体的な施策
- 数字に基づいた客観的な分析
- 持続可能な改善システムの構築
フルリモートで全国対応
私たちは宮崎を拠点としていますが、フルリモートでの対応により全国のお客様にサービスを提供しています。場所を問わず、あなたの「想いの実現」をサポートいたします。
~ワクワクする経営を目指して~
本当は、ピンチに陥ってハラハラする経営ではなく、ワクワク心が奮い立つような「想い(ビジョン)」に導かれる経営を実践したい経営者は多いはずです。
ビジョンと数字がハッキリしているからこそ、事業に対するモチベーションアップに繋がる。そして、その結果、お客様により良いサービスを提供でき、地域社会への貢献も実現できると考えます。
E様の事例のように、確固たる想いがあれば、それを数字で裏付け、具体的な行動に移すことで実現可能性を高めることができます。私たちコダマコンサルティングは、あなたの想い実現の良きパートナーでありたいと考えています。
あなたの場合はいかがですか?
同じような想いや課題をお持ちの経営者様は、ぜひ一度ご相談ください。初回相談は無料で承っており、あなたの想いをお聞かせいただいた上で、最適な実現方法を一緒に考えさせていただきます。
私たちの将来が、夢と勇気と希望に満ち溢れた世の中になることを願って、今日もクライアント様の「想いの実現化」に全力で取り組んでいます。